二十四節気“白露”と“重陽の節句”
二十四節気では、「白露」の時期に入っております。
秋気が加わり、草木に露が宿るころ。太陽の黄経(黄道の一点と春分点とがつくる角度)は165度。
お便りの書きだしも、「白露のみぎり」「仲秋の候」などから始まる時期になりました。
露は一年中見られますが、その冷ややかな感じがいかにも秋にふさわしく感じられます。
日が当たるとたちまち消えてしまう露は、古来、はかないもののたとえとされ、「露の命」「露の世」などと表現されてきました。
木々の葉の上に光る露の玉。草原や芝生の上もひんやりとして気持ちがいいですね。秋になると、大気中には水蒸気がまだ夏のままたっぷり残っているのに、大気中には水蒸気がまだ夏のままたっぷり残っているのに、大地が急速に冷えていくために露が現れます。
秋のさわやかな日ほど夜間の気温の低下が大きく、日中暖められた空気が上空に逃げる放射冷却が進み、露が現れやすくなるのだそうです。
そして、本日9月9日は五節句の一つである重陽の節句。
易(陰陽変化の原理にもとづいて万物の吉凶・なりゆきを占う法)では、「九」は陽数の極とされ、月日にそれが重なることから重陽と言われます。もともとは旧暦9月9日の行事でした。
中国ではこの日、「登高」といって丘・山などの高いところに登り、菊酒(菊の花を浸した酒)を飲み、邪気をはらって長寿を願う習慣があったそうです。これが日本に伝わり、奈良・平安時代には宮中で観菊の宴が催されていました。群臣が詩歌をつくり、舞を奏し、天皇から「菊酒」を賜ったのだとか。
また、前日から菊花に綿を覆いかぶせてその露と香を移し、体や顔をぬぐうと長寿を保つという風習がありました。これを「菊の被綿(きせわた)」と言います。
『後水尾院当時年中行事』にその記述があり、江戸時代には、
「白菊」には黄色の綿を乗せ、さらに蕊(しべ)に見立てた赤い綿を、
「黄菊」には赤い綿を乗せ、さらに蕊(しべ)に見立てた白い綿を、
それぞれ乗せたと言います。
画像元:「菊正宗 kikumasamune 【公式】 on Twitter」
盃に菊の花びらを浮かべ、一夜漬けした酒の味とともに菊の香りを味わう…。
鑑賞花や仏花の印象が強い「菊」ですが、古くから生薬としての効能が期待され、漢方や薬膳などでも親しまれています。
今宵お試しになってみてはいかがでしょうか。
ユウキアユミワールドアカデミー
校長 由結あゆ美