二十四節気“穀雨(こくう)” – 日本人としての喜びがわいてくる話 –
2022年4月20日。二十四節気では「穀雨」の時期に入りました。
(※二十四節気は、太陽の黄経に従って一太陽年を24分したもの。それぞれに季節的な特徴となる名称をあてています)
“百穀を潤し発芽をうながす雨が降るころ”
この時期の雨は、“百穀春雨”とも言われます。
太陽の黄経(黄道の1点と春分点とがつくる角度)は30度です。
Contents
気象の推移や動植物の変化を表す七十二候
[初候 4月20日~24日頃]
葭始生
あし はじめてしょうず
(水辺のアシが芽を出しはじめる)
葬始生
うきくさ はじめてしょうず
(湖沼のウキクサが芽を出しはじめる)
[次候 4月25日~29日頃]
霜止出苗
しもやみて なえいずる
(霜が終わり、稲の苗が生長しはじめる)
鳴鳩其羽
めいきゅう そのはねをはらう
(イカルが羽をはたき清める)
[末候 4月30日~5月4日頃]
牡丹華
ぼたん はなさく
(ボタンの花が咲く)
戴勝降于桑
たいしょう くわにくだる
(カッコウが桑の木に止まる)
旬の食材“蓬(よもぎ)”にまつわるあれこれ
蓬はハーブの女王と言われる程、薬草としても有名で、美肌にも良いのだとか。植物分類としては、キク科ヨモギ属に分類されます。
王朝時代には、衣の表と裏の色の組み合わせが季節ごとに決まっていて、“襲(かさね)の色目”と呼ばれていました。蓬の色目は5月でした。その理由は、蓬が5月5日の端午の節句になくてはならぬ草だったからです。菖蒲とともに軒に葺く風習もありました。
『枕草子』には「節は5月にしく月はなし。菖蒲、蓬などのかをりあひたる、いみじうをかし」とあります。
『源氏物語』蓬生(よもぎう)の巻は、須磨明石から都へ帰った光源氏と故常陸宮の姫君、末摘花の再会の物語。
夏の初めのある夜、源氏は木立が森のように茂る荒れてた屋敷のそばを通りかかります。大きな松の木に絡まる藤の花が月にほの白く照らされて揺れていて、風が運んでくるその花の香りに、ここがかつて足しげく通った常陸宮の屋敷だったことを思い出したのです。
垣の内には蓬が軒に届かんばかりに伸びていて、鞭で払いながら進んでゆくと、夜露が時雨のように飛び散ります。
末摘花とは紅花のことです。この姫君は鼻の先が紅を塗ったように真っ赤だったのでこう呼ばれていました。加えて、考え方も振るまいも世間知らずです。とても好みとはいえなかったのですが、源氏はこの姫を大事にし、後には自分の屋敷に住まわせたのでした。
蓬はぐんぐん丈が伸びます。春になると、いち早く白い産毛に包まれた柔らかな芽を出します。芽がほぐれると、葉の表は濃い緑に変わりますが、裏は芽立の時の銀色のまま。この深緑と銀色の配色が清々しく感じます。
昔の人はこの旺盛な生命力にあやかろうと、春には蓬を摘んで食べたり、身に着けたりしたのです。
蓬を餅につき込めば蓬餅。生麩にまぜたのが蓬麩。刻んだ蓬の芽を入れた味噌汁は蓬汁。私はまだ今年蓬を頂いていないのですが、無性に食べたくなってきました♪
縁起物であるこの時期の“新茶”
穀雨の時期は八十八夜とも重なり、このときに摘まれた緑茶は不老長寿の縁起物なのだそうです。
最後までお目通し頂き、有難うございます。
改めて、豊かな自然に恵まれた日本に生かして頂いている喜びを感じます。
皆さま、どうぞますます潤いある日々をお過ごしになりますように♪
ユウキアユミワールドアカデミー
クォンタムヴォイスアカデミー
校長 由結あゆ美